こんにちは。八王子市の行政書士 野嶌孝文(のじまたかふみ)です。
【公正証書とは】
例えば、夫婦の話し合いで離婚をする場合、親権をどうする?、や養育費などの「約束ごと」を離婚協議書にしておきますが、これを「公正証書」にして作成しておくことで、後々の紛争防止に役立ちます。
<公正証書を作つくると良い点>
公正証書は、当事者間で作成した私文書(離婚協議書、契約書、念書など)と違って、
(1)証明力がある
(2)執行力がある
(3)安全性がある
という優れている点があります。
(1)証明力がある
私文書(例えば離婚協議書など)の場合、もしトラブルが起きて裁判になったときには、作成した文書が正しいことを証明しなければ、証拠として使えません。
しかし、厳格な手続きによって作成される「公文書」=「公正証書」は、公証人によってその内容の適法性、有効性が確認されているので、裁判官はただちにこれを証拠として採用します。
公正証書は、トラブルが起きたときの裁判だけでなく、税務署その他の官公庁でも活用されます。
(2)執行力がある
例えば、協議離婚の公正証書であれば、元夫が養育費を約束どおりに支払わないときに、裁判所に強制執行の申立てをすれば、元夫の財産の差し押さえができるのです。
これに対して、単に当事者間で作成した文書の場合は、裁判で勝訴判決をうけ、その判決が確定しなければならないので、時間も費用もかかってしまいます。
このように、公正証書の「執行力」は、大変有利な、安全、確実なものです。
(3)安全性がある
公正証書を作成するうえで、その内容が法令に違反していたりする場合、公証人により作成の段階でのチェックがあるので、安全な契約が結べることになります。
また、作成された公正証書の原本は、公証役場において厳重に保存されるので、もし当事者が失くしてしまった場合でも、公証役場で謄本を作成してもらえます。
<公正証書の利用法>
養育費であれば、一般的な強制執行よりも支払ってもらい易くなっていて、一定の条件を満たせば将来もらえる予定であるお金も強制執行することが可能です。
差し押さえ(強制執行)できる財産は、大きく分けて3つです。
(1)動産(不動産以外)
(2)不動産(土地・家など)
(3)債権(給与などのお金)
養育費の場合は債権である“給与”を差し押さえし、強制的に養育費を取り上げてしまうことが可能です。
<公正証書の作成方法>
公正証書は次のような手順で作成されます。
(1)受付
当事者の双方(または代理人)が、公証役場に行って受付します。
予約制の場合もありますので公証役場に事前に確認しておきます。
(2)身分確認書類を調査
持参した印鑑証明書と実印により公証人が本人確認を行ないます(本人確認は、運転免許証、パスポートなどでもよいとされています)。
(3)契約内容の聴取
公証人が内容となる具体的な内容(離婚公正証書の場合は養育費の支払いなど)を聴取します。
(4)公正証書の作成
公証人はその内容にもとづき、文書を作成します。そのため時間がかかり、完成が翌日以降になることもあります。
また、公証役場に事前に内容を通知しておき、文書をあらかじめ作成しておいてもらい、当日に完成させることもあります。詳細は事前に公証役場に確認します。
(5)公証人による公正証書の読み聞かせを行い、公正証書の内容を確認します。
(6)公正証書への署名、押印
当事者(または代理人)、公証人が公正証書に署名、押印します。
(7)原本の保存と正本・謄本の交付
署名、押印された公正証書は原本として公証役場に保存されます。そして、原本と同じ効力を持つ正本が交付され、必要があれば謄本(コピー)の交付もうけられます。
<公正証書の種類>
<主な財産関係の公正証書>
・金銭消費貸借契約
・売買契約 など
<主な身分関係の公正証書>
・遺言
・離婚給付契約
・遺産分割協議 など
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