遺言について

こんにちは。のじま行政書士事務所の野嶌(のじま)です。

今日から、「遺言」についてお話しをしていきます。

 

1 遺言とは何か

 遺言とは、人の最終的な意思にしたがって、その人の死後に効力を発生させる行為です。すなわち、遺言の制度は、一定の事項について、遺言者の死後の法律関係が遺言で定められたとおりに実現することを法的に保障する制度です。

 

2 遺言の性質

 遺言は、相手方のない単独行為であり、民法で定められた方式にしたがって行わなければならない「要式行為」(民法960条)であり、遺言事項が法定されているものです。

 

3 遺言事項

(1)遺言によってなしうる事項は次の①から⑧までです。

  ①未成年後見人の指定(民法839条)

  ②未成年後見監督人の指定(民法848条)

  ③相続分の指定又は指定の委託(民法902条)

  ④遺産分割の方法の指定又は指定の委託(民法908条前段)

  ⑤遺産分割の禁止(民法908条後段)

  ⑥共同相続人の担保責任の指定(民法914条)

  ⑦遺言執行者の指定又は指定の委託(民法1006条1項)

  ⑧遺贈の減殺方法の指定(民法1034条ただし書)

(2)遺言でも生前行為でもなし得る事項は次の⑨から⑪までです。

  ⑨認知(民法781条2項)

  ⑩推定相続人の廃除及びその取消し(民法893条、894条2項)

  ⑪特別受益者の相続分の指定(民法903条3項)

 

<参考>

 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言をいかに解釈すべきかについて、判例は、遺言書の記載からその趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情がない限り、民法908条にいう遺産分割の方法を定めたものである、と解しています。このように解すると、遺産分割協議など何らの行為を要せずして、被相続人死亡の時に、直ちにその遺産はその特定の相続人に相続により承継されることになり、また、遺言によって不動産を取得した特定の相続人は、登記なくしてその権利を第三者に対抗することができることになります。

 

4 遺言能力

15歳に達した者は単独で遺言をすることができます(民法961条)。遺言も意思表示であるから意思能力が必要ですが、15歳に達していれば、制限行為能力者であっても有効に遺言をすることができます(民法962条)。
 被保佐人や被補助人は、単独で有効に遺言をすることができます。成年被後見人は、事理弁識能力を一時回復したときに、医師2人以上の立会いがあれば、遺言をすることができます(民973条1項)。

 

今日のお話はここまで。

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行政書士 野嶌 孝文

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